Pâtisseries Régionales


   フランスの地方菓子

 
  1.  la Loireロワール川下流に位置するこの地域圏は複雑な事情を抱えています。もともとNantesナントはブルターニュ文化圏に位置し、地域圏再編にあたりもう一つのBretagneの中心地であるRennesレンヌとの兼ね合いから、Bretagneからはずれ、この地域圏の首府として据えられました。住民は今でもBretagneのアイデンティティを持ち続けています。さらに東部の中心都市Angersアンジェに至っては東隣のCentreサントル地域圏との関係を主張しています。これはAngersがかつての州であるTouraineトゥーレーヌ、Anjouアンジュといった地域を拠点に発展していった公爵領の一部であったことに由来します。アンジュー家は一方でプランタジネット家とも呼ばれ、英仏百年戦争の発端にもなったイングランド王も配しました。このような歴史上の複雑な背景が今現在でも生き続けていることは大変興味深いですし、人々のアイデンティティは当然『地方菓子』にも反映されています。

  1. 箇条書き項目Pays de la Loire / ペイ・ド・ラ・ロワール

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ロワールの地方菓子../Patisseries_Regionales_de_fang_guo_zi/peji/Pays_de_la_Loire.html

 上述のように、この地域圏の歴史的な文化的統一性は見ることができません。よって、他の地域圏のような「この地域圏特有の『地方菓子』」というものはこれといって見い出すことが出来ませんでした。これもひとえに、より分かりやすい基準で細分化しようとして現在設定されているrégion地域圏別にまとめた弊害であります。フランス革命後、王制下の地方区分(長い年月における根強いアイデンティティが存在する区分)を廃し、それを或程度反映した県制度を導入しましたが、1941年に地域圏制度が設定された際にはこのような「(歴史的背景の存在しない)Nantesのための地域圏」としてこの地域圏が誕生してしまいました。しかし、それでも他の地域圏と同じようにそれぞれの町には特色あるspécialitéが存在しています。